桜の時期と春分と時正

 徒然草の第161段にいわく:

 花の盛りは、冬至より百五十日とも、時正じしやうの後、七日とも言へど、立春より七十五日、大様違はず。

 桜の花が満開になる時期の話で。時正(じしょう)って、たいがいの辞書には昼と夜との時間が等しい日すなわち春分秋分なんて書いてあるけど、実は違うという話を何かの本で読んだことがある。

 試しに計算してみた。

keisan.casio.jp 兼好法師は京都の人だから地域は京都と設定して、2021年の春分の日へんを計算してみたら

  日出 日没 昼間の時間
2021/3/15 6:06:56 18:05:38 11:58:42
2021/3/16 6:05:33 18:06:28 12:00:55
2021/3/17 6:04:09 18:07:17 12:03:08
2021/3/18 6:02:46 18:08:06 12:05:20
2021/3/19 6:01:22 18:08:55 12:07:33
2021/3/20 5:59:58 18:09:44 12:09:46
2021/3/21 5:58:34 18:10:33 12:11:59

  とまぁ春分の3月20日は昼間の方が微妙に長くて、昼夜がほぼ等しいのはそれより前の3月16日となる。

 ちなみに春分の日など二十四節気の設定法は現代と違っていて(幕末の天保暦以降は定気法)、当時のやり方の平気法(恒気法)だと2021年は3月23日で、数日遅くなる。

 2021年に引き直すと、冬至より150日は5月20日、時正の後7日は3月23日、立春より75日は4月19日、当時の平気法だと4月21日。3月23日はともかく、4月の21日だの5月20日だのは、現代の感覚からして非常に遅い。

 これは桜の品種問題だろう。現代で桜といえばソメイヨシノだが、これは幕末前後に成立した品種だ。兼好法師の時代の京の都には様々な品種の桜があって、花季もまちまち、全体に遅めだったということだろう。