最近グルテンフリーなんてコトバを良く聞くし、欧米で大流行していると聞く。
わたしゃパッと聞いて、アミノ酸バランス問題じゃねの?と思った。
とりあえず、ぐぐった:
もともと小麦アレルギー対策で始まったのが、スポーツ選手やモデルさんたちがやってみたら、スコアが上がった、体調が良くなった、効率的にダイエットできた、等々で流行となったようだ。
でも常識として、これアミノ酸バランス問題だよね?
ヒトが食物から摂取しなければならない必須アミノ酸というものがあって、これが欠けると健康を害するし、場合によっては病気になったり死に至ったりする。
アジア人は概してコメが主食、欧米人はだいたい小麦(パン)が主食。コメは小麦より必須アミノ酸のバランスが良いと聞いていた。
昔は鶏卵の必須アミノ酸バランスを100として計算してたよな、と思って改めてぐぐった。そしたら:
今は FAO と WHO の1985年バージョンで、ダイズを基準にするのらしい。
にしてもウィキペディアのグラフは、分かりにくい。だから、サラから調べてみた。生データは文部科学省のウェブサイトにあった:
アミノ酸成分表編 第2章 第2表 Excel(日本語版):文部科学省
これがウィキペディアに書かれている「窒素1g あたりに占める各必須アミノ酸のmg 数」そのものだ。いろんな項目があるから、基準を定める必要がある。だから、このようにした:
大豆:だいず [全粒・全粒製品] 全粒 国産 黄大豆 乾
小麦:こむぎ [小麦粉] 強力粉 1等
コメ:こめ [水稲穀粒] 精白米 うるち米
小麦粉は、強力粉1等がパン用として最も一般的なのらしいから、これにした(1等と2等の違いはミネラル量らしい)。
んで必須アミノ酸のデータを拾って、それぞれのアミノ酸について大豆を1とした場合の割合をエクセルでレーダーチャートで描いてみた:
なるほど確かに、コメに比べれば小麦はいかにも悪い。コメだって良くはないけど、Lys (リジン)が明らかに不足している他は、ちょっと足りないぐらいの感じかな。
何にせよパンばっかり食って他のたんぱく質類の食べ物が少ないと健康に悪い。しかしそれはコメだって同じこと。私が考えた通り、バランス問題なのは明らかだ。
南アメリカにスペイン人がやってきて、原住民族が征服されたのは、主食がトウモロコシで、トウモロコシのアミノ酸バランスが絶望的に悪いせいだと聞いたことがある。だから、大豆・小麦・トウモロコシでグラフを描いてみた。トウモロコシのデータは「とうもろこし コーングリッツ 黄色種」を使った:
明らかに Trp (トリプトファン)が少ないけど、小麦に比べて、そんなひどく悪いというレベルじゃないなあ。これまた食生活のバランス問題で、原住民族も王侯貴族以外はトウモロコシ以外の食べ物にありつけなかったって話なんじゃないかなあ?
まとめ
グルテンフリーは、アレルギー対策以外あんまり意味がない。食生活のバランスの方が重要だわな。常識だけど。
補遺
昔は鶏卵が基準だったけど、今は1985年バージョンの大豆が基準だという。だから大豆を1とした鶏卵のグラフを書いてみた:
なるほど確かに、鶏卵を基準とするのは良くないように見える…かと言って大豆(製品)だけ食べれば良いというものではないだろう。動物性たんぱく質の食物には人体に必須のビタミンB12が含まれていて、大豆ほぼゼロだから、大豆のみというのが人体に有害なのは明らかだ。