学校給食…

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学校給食は、むずかしい。建前としては教育なんだけど、歴史的に見て福祉の側面があるから。

 

学校給食には根拠法「学校給食法」ってのがある。冒頭は以下の通り:

 

(この法律の目的)
第一条  この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な 役割を果たすものであることにかんがみ、学校給食及び学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実及び学校 における食育の推進を図ることを目的とする。

 

(学校給食の目標)
第二条  学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない
 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。

 

以上のように定められていて、努力目標なんだよね。「食育」なんてのも、法律でこのように努力すべしとあるので、正当化される。

 

ただ「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」ってのがクセモノ。

 

日本史で昭和初期に欠食児童なんてのがあって、教科書に大根をかじる子ども達の写真が載ってたりした(アレはヤラセという説あり)。昭和の初めから20年代まで学校で昼メシ食えない子どもがザラだったのは確かだ。

 

それが敗戦後、ララ物資なんてのが来たりして。その中に通称「はと茶ミルク」、脱脂粉乳があったりして。私の郷里では昭和40年代いっぱいまであったように思う。最後の記憶が1975年ごろの横流し品。ニュージーランド産で、免税だと言ってたな。脱脂粉乳は今でも探せばスーパーの棚で見つけることができるけど、グレードが色々とあって、昭和20年代のモノは「家畜のエサ」グレードだったらしく、輸送の過程で変質してたりで、非常に不味かったらしい。

 

何にせよ敗戦直後まで欠食児童がいたので、アメリカの差し金?で学校給食が始まって、占領終了後の昭和29(1954)年に先述の学校給食法が成立して、義務教育では給食を行うべしということになった。そして、現在に至る。

 

そうした事情から「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」が努力義務として法的に定められている。これは教育じゃなくて福祉だ。

 

 

さて、と。義務教育における学校給食は、法的には「努力義務」である。別に、やんなくてもいいのね。極端な話。

 

たぶん、現在に至るまでに色々と「利権」が出来上がってるんだと思うよ。食材そのものに対して補助金やら助成金がおりることはないらしい(基本的に給食センター整備などハコモノが対象みたい)。けれども、たとえば「食育」の名の下に農水省が生産者に対して、学校給食への食材の採用を推進するみたいな話はあるようだ。

 

ところで教育と福祉とは、もともと水と油みたいなところがある。

 

教育とりわけ公教育はどうにもこうにも国策で、「教育とはかくあるべし」論で進められる…現実との間でミスマッチがあっても、だ。福祉は、いま目の前にある「現実」をどないすべえ?というところから始まる。一般論として教育は上から目線であり、福祉は水平だ(キリスト教系の福祉事業は上から目線みたいなところが無きにしもあらず…神の下に平等という前提があって、ユダヤ教キリスト教イスラームの「神」なんかどーでもいい標準的な日本人にとっては、神を信じない人に対する「憐み」みたいな上から目線を感じるのね)。

 

とまれ、かくあるべし論と、現実の間には、チョーチンとツリガネほどにも差異がある。

 

日本は、景気わるいと言っても、それなりに豊かな国だから、往々にして「貧困」は見過ごされる。「貧困」のセンは生活保護、巨大掲示板方面で言うところの「ナマポ」であるか否かで判断される…なまぽナマポというけれども、巨大掲示板方面やマスメディアで叩かれるのはごく一部であって、日本平均として、生活保護を受けるには、お城の石垣ぐらいに高い障壁があるし、受けたら受けたで社会福祉主事(市町村のお役人)の定期的な巡察がある。言われるほどに生易しいものではない。

 

学校給食は義務教育の一環であるから、生活保護世帯の子供は当然、給食費を免除される。当たり前の話。

 

問題は、生活保護にまで至らないけれども貧乏な家庭。これが引っかかってしまう。

 

いま給食費の相場が月5千円。この金額は、過去の相場/物価水準からしても、そんなに変わらない。

 

例を挙げると、シングルマザー世帯。シングルマザーの年収は、バツで元ダンナからの養育費コミコミでも平均200万円とかいわれている。ひとり暮らしなら手取り年収200万円はオンの字かも知れないが、子どもがいれば、月5千円はめちゃくちゃ痛いぞ…もちろんシングルマザーに対しては色々と手当てがあって、子どもの給食費が免除になる制度もあるにはある。でもこれだって制約は厳しいのであって、微妙に漏れちゃったら(ありがち)月5千円は痛い。

 

まっとうに生活してた世帯だったのにダンナがリストラに遭ったりしたら、もう、真っ逆さまですよ…かと言って生活保護うけるには城壁が。

 

日本で貧困てば生活保護が基準で、言ってみれば絶対的貧困なんだが、生活保護を受けるレベルではないけれども、給食費が払えないという、グレーな「相対的貧困」というものに、日本は冷たい…目をそむけてる?

 

教育は「かくあるべし論」であって、生活保護とかなら、まぁしゃーないで済ますけれども「払えないのよ!」っていうグレーな貧乏人には冷たい。お宅は生活保護じゃないですし、シングルマザー世帯の給食費免除でもないですよね?それやったら払うもん払ろてんか?…ヤクザの物言いですな。まったく。

 

学校給食を「義務教育」の枠組みで動く限り、学校給食はヤクザのシノギになってしまうのですねえ。何ともはや…

 

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